2016年11月23日水曜日

第15回特別講座「地球のメッセージを知ろう。未来へメッセージを送ろう。」

第15回特別講座は、立冬(11月7日)に因み、11月19日に開催しました。立冬とは、冬の始まりです。季節外れの様に、急に暑くなったり・寒くなったりすることがありますが、着実に寒い季節に向かっていますね。

今回の講座のテーマは「メッセージ」。情報過多な現代、未来の私たちの暮らしにとって重要な「自然からのメッセージ」はキャッチしづらいものになってしまっています。その大切なメッセージに注目し、そのメッセージの先にある「明日の地球」について考える講座になりました。

今回の会場は、葛西臨海公園・鳥類園(東京都江戸川区)。
左手には葛西臨海水族園、右手には観覧車が見えますね。その名の通り、鳥たちにとっては快適に過ごすことができる環境が整っていて、鳥や自然の観察には最高の場所なんです。今回、NPO法人生態教育センター様のご協力を得て、鳥類園の施設をフル活用させていただく講座になりました。(ありがとうございました)
そして、講座の基地になったのは、鳥類園ウォッチングセンター。とても素敵な施設です。

さぁ、講座のスタートです。
ウォッチングセンター内のレクチャールームを中心に講座は進行しましたが、段々畑の部屋になっていて、正に「大学」の教室みたい。冒頭は、アースデイ大学代表の生姜塚からのオリエンテーションです。

まずは、ゲスト講師の樋口宏芳先生(東京大学名誉教授)から、「渡り鳥」を通して、地球からのメッセージ考える講義です。
樋口先生は、鳥類学・生態学の第一人者で、世界中で活躍されているので、講義を直接聴けること自体が有難いことです。講義の中で、難解ワード「生物多様性」とはどういうことか?を、とても分かりやすく解説いただいたことが印象的でした。さすがですね。

続いて、樋口先生の講義内容を頭に入れながら(イメージしながら)、レクチャールームを飛び出して「野鳥観察」に出発!
まずは、鳥類園の中にある池での観察。ゲスト講師の北村さんのガイドで、楽しく観察ができました。
冬は、シベリアの方から鴨たちが渡ってくる季節です。この鳥類園も鴨たちで賑わっていました。
「あっ、カワセミ!」という声で、受講者の皆さん「どこどこ?」と大騒ぎ。みんなで双眼鏡を必死にカワセミに合わせます。その姿が微笑ましかったです。

場所を変えて、東京湾側(公園のなぎさ)に向かいました。景色は一変します。
あれっ?あれは!
ここ葛西臨海公園は「東京ディズニーリゾート」の隣に位置しています。夢の国・ディズニーリゾートの沖合で、体を休めている鴨たちも「いい夢」を見ているんでしょうか?
ここでは、猛禽類ノスリが、上空でホバリング(同じ場所に止まって飛んでいる)している姿が観察できました。何かを獲物を狙っているのでしょうか?生物多様性を姿を目の当たりにした瞬間でしたね。(写真は分かりにくいですね)
こちらでも、アオアシシギ等の突然登場する渡り鳥たちに、盛り上がりました。
「あれ何という鳥?」という疑問にも、生態教育センターの方に図鑑を駆使して分かりやすく解説いただきました。

1時間程の観察も終了し、レクチャールームへ。
ここから講座後半に突入です。「自然からのメッセージ」を受け取って、既に「自ら活動に取り組んでいる」ゲスト講師の方々からの話をお聞きしました。

まずは、増田さん(リトルターン・プロジェクト創設者)のお話です。増田さんは、大田区を流れる「内川」の保全運動等、様々な活動に取り組まれており、その「行動力」に驚かせられました。
続いては、北村さん(リトルターン・プロジェクト代表)のお話です。リトルターン・プロジェクトは、南半球から日本に渡ってくる絶滅危惧種コアジサシの保護活動。活動を長期間に渡って「継続」することの重要性について考えさせられました。
最後に、西村さん(中越パルプ工業)のお話です。生物多様性という視点から「放置竹林への取組み〜竹紙生産(竹を原料にした紙)」を紹介いただき、「ものごとの見方」を変えることで、新たな価値を生む発想に関心させられました。

3名の方々の「情熱の入ったメッセージ」を受け、講座はいよいよ終盤に。

様々な「メッセージ」に触れ、受講者の皆さんは、何を考えたのか?何を想ったのか?
それを「メッセージとして、実際に発信してみよう=(受講者自身の)未来へのメッセージを書こう」という試みが、講座の最後のパートになりました。

その前に、「先人たちのメッセージ」ついて、代表の生姜塚から話がありました。
『日本固有の自然観の中から生まれた「御伽草子(おとぎぞうし)」。あの浦島太郎も御伽草子の一つ。その御伽草子の一つ「雀の小藤太」という物語の中に、今で言う「生物多様性(生きもの達の繋がり)」がうまく描写されている。今現在、この「雀の小藤太」に触れると、自然環境に対する大切な意識が、薄れてしまっていることを考えさせられる。この御伽草子は、室町時代に書かれたものだが、現代の我々への「未来へのメッセージ」です。』と。
鳥歌合絵巻(慶應義塾図書館蔵)

いよいよ、受講者の皆さん自身が「メッセージ」を考える時間に。
メッセージは、西村さんの話で登場した「竹紙」製の葉書に書いてもらい、その葉書は、なんと!来年9月23日(秋分の日)に、受講者ご自身宛に郵送される仕掛けになっていました。
今回の講座を通して考えたことを、来年の秋に読むと、どう受け止められるのか?明日の地球のために、少しでも行動に起こしている自分自身の姿を確認できるといいですね。

講座の最後は、受講者・ゲスト講師の皆さん揃って、振り返りを。そして講座は無事終了となりました。

長時間の講座になりましたが、大人から子供たちまで、幅広い年代の方々に受講いただき、ありがとうございました。ゲスト講師の皆様、港区エコプラザ他ご協力いただきました団体の皆様、ありがとうございました。

アースデイ大学は、2014年6月に第1回特別講座をスタートし、今回で第15回を迎えることができました。ひとえに、皆さまの応援があったからこそ、到達できたと想います。本当にありがとうございました。
気持ちとしては「まだまだ15回」。これからも、新しい視点を持って、皆さんに参加してよかったと想われる講座を企画していきたいと思いますので、応援していただけますと幸いです。これからも宜しくお願いいたします。