一昨年11月に開催した第15回特別講座「地球のメッセージを知ろう。未来へメッセージを送ろう。」の続編(その第2章)講座として、1月28日に開催しました。
今回の講座の会場は「港区立エコプラサ」と「浜離宮恩賜庭園」。
浜離宮恩賜庭園では冬の渡り鳥「鴨たち」を実際に観察し、港区立エコプラサでは渡り鳥たちの生態に関する貴重な講義に参加できる、なんとも贅沢なプログラムになりました。
講座の集合場所は港区エコプラザ。
恒例のアースデイ大学代表のオリエンテーションから講座はスタートしました。
残念ながら、「数日前の大雪&寒さ」と「インフルエンザ大流行」の影響があって、参加予定の方々の大量キャンセルが出てしまったのですが、逆に少人数のアットホームな講座になりました。
今回のゲスト講師は、前回に引き続き、樋口宏芳先生(東京大学名誉教授)。鳥類学・生態学の第一人者で、世界中で活躍されているので、講義を直接聴けること自体が有難いことです。
そして、浜離宮恩賜庭園の中山なつ希さん(浜離宮恩賜庭園サービスセンター長)に案内をいただき庭園内の観察を進めることが出来ました。
オリエンテーションの後、いよいよ浜離宮恩賜庭園に出発です。
道中はちょっとした、都心の中での遠足気分。こんな道があるんですね〜と関心しながら進みました。道草しないように(笑)
そして、恩賜庭園に到着。
ここは都心のど真ん中の、高層ビルに囲まれている緑豊かなエリア。ちょっと不思議な、貴重な場所ですね。地図を見ると良くわかります。
早速、観察がスタートしました。鳥を見つけては、その場が、樋口先生の解説がある鳥観察教室に大変身。少し進んでは止まったりと、なかなか前進しません。だけどワクワクしますね。
ここ浜離宮恩賜庭園は江戸時代の代表的な大名庭園。将軍家の鴨狩場(鴨場)でした。その跡が残されているのが興味深かったですね。
この小さな小屋が観察小屋。小さな丸窓から池にいる鴨を見ていたそうです。「あっ、鴨が数羽います!」
そして、この細い水路に誘き寄せて、鴨を捕獲していたそうです。へぇ〜
この庭園は海とも繋がっていました。潮の満ち干によって池の趣が変わる工夫が施されています。庭園の海側でも、多数の鴨の観察をしました。
あっ、水上バスもここを通過するんですね。手を振って挨拶!
海と繋がっている庭園内の「潮入の池」。ここでも数種の鴨たちの観察ができました。
おっと、鴨が集まっている上空には、トンビが旋回中。狙っていますね。。
潮入の池周辺には幾つかの御茶屋が建っていますが、建物内に「鳥を模した遊び心」が発見できました。粋ですね。
そして、あっという間に、エコプラザに戻る時間になりました。恩賜庭園の皆様、お世話になりました。
エコプラザに戻って、後半は樋口先生の特別講義です。
渡り鳥が「世界の自然と自然、人と人を繋いでいる」をテーマとした、非常に内容の濃い講義でした。
様々な渡り鳥の「渡り」について、アニメーション等を交えてお話いただき、鳥が地球上を国境を越えて渡っている様子を、非常に分かりやすく、興味深くお話いただきました。参加者はグイグイ引きこまれていきましたね。
鳥たちは、渡りの目的地を「何丁目何番地」位まで正確に記憶し、同じ場所に戻ってくる能力を持っているそうです。凄い!
講座の後半では、その渡り鳥たちの「渡り」をめぐって、「同じ鳥の群れを、いろいろな国や地域の人たちが見ている=渡り鳥を通して、人間が国境を越えて繋がっている」。そして、この繋がりが「国境を越えた環境保全活動」に展開している話がありました。
「繋がり」を考えることが、現代の自国中心主義(○○○First)に忘れがちになってしまっていることなのかもしれませんね。とても重要なメッセージでした。
講義後、参加者の皆さんと一緒に、本日の講座を振り返りしました。少人数ならではの距離感の無い雰囲気で講座は終盤に進みます。
最後に、本日の講座を通しての気づきを、皆で「未来へのメッセージ」としてハガキに書いて込めました。参加者一人一人の「未来への自分にメッセージを贈る」ことで、未来の社会の為に、自分にできることは何かを考えてもらいました。このハガキは「来年の新年」に皆さんの元に配達されます。参加者の皆さん、お楽しみに。
そして、講座終了時間となりました。ご参加いただきました皆様、講師の皆様、港区立エコプラザの皆様、大変ありがとうございました。(ハイ・チーズ!)
「渡り鳥」をテーマにして「繋がり」を考える当講座は、今回で2回目になりました。この講座のユニークな視点は、渡り鳥に対する「日本での活動」は、渡り鳥が飛来する海外各地域にも繋がっている「グローバルな活動」であるということです。決して、海外に赴いて活動することだけではありません。目の前に起きていることへの気づきが、地球全体の未来に繋がっている視点。ここに新しい発見があると有難い限りです。これからもシリーズ展開をしていきたいと思います。