2014年10月27日月曜日

関連講座レポート第2弾「秋の収穫祭」

先週の関連講座レポートに続き、10月26日に開催された「秋の収穫祭(主催:農業生産法人 日本豊受自然農)」の様子をレポートします。
会場は静岡県函南。
東京から熱海駅に到着。そこから、車で30分程の駿河湾と富士山が一望出来る農場で開催となりました。
今回は、日本豊受自然農の代表「由井寅子さん(写真右)」により、自然農の魅力にグイグイ引き込まれていくという講座でした。寅子さんは、エネルギッシュで、とても素敵な女性でした!寅子さん曰く、「この場所は、飛行禁止エリアということで農薬の空中散布ができないんですよね。だから、安心して自然農ができるんですよ!」と。それから、寅子さんの農場では、原種の種を一番大切にしていて、農作物を自然農で育てる・作るというこだわりをもっています。今日は、こだわりをもった農場での秋の実りを大満喫した一日になりました!
アースデイ大学の代表 生姜塚理恵(写真左)と2ショット!
まずは、エキナシアの花摘み。
エキナシアは体の免疫力を高めるハーブ。このエキナシア畑は、「エキナシア プロジェクト」として、3.11で犠牲になられた多くの方々へ想いを馳せながら今年、手で石を取り除いて種まきをしたという思い入れのある場所だそうです。
花摘みは、ハサミを使って、ひとつ一つ丁寧に。
あっという間に、沢山収穫できました。
さすが自然農。野生の日本蜜蜂や毛虫、青蛙等の生きものが非常に多かった。彼らが、喜んでいる様にさえ見えましたね。
皆で記念撮影。こんなに沢山の方が参加されていました。凄い!

…と、あっという間に昼食タイム。
勿論、この農場で収穫した山の幸と駿河湾でとれた海の幸を使った贅沢なメニュー。味付けは、シンプルな塩、味噌、香味野菜を使い、素材の味をいかした調理でした。日本食を得意とする料理長から食材についての解説もあり、一つ一つ味わうのが楽しみでした!
午後は、収穫祭!まずは、薩摩芋!
 薩摩芋掘りは、何年ぶりでしょうか?野菜の「力」は、改めて本当に強い!と痛感しました。土の中深くしっかり根を張り巡らせているので、そう簡単には掘り出すことはできません!
続いて、生姜!
私「生姜塚」としては、生姜は他人事では無い気持ち。こんな感じで(ゴソッと割と簡単に?!)収穫できるんですね。土と生姜の香りが混ざった、スパイシーな香りが漂っていました。
自然農で育った野菜の特徴は、土の中から栄養素を自らとらえようとすることから、直根から毛細根がたくさん伸びていることだそうです。自然農は、人間が農作物に肥料を与えたり手を掛けて過保護にして育てるのではなく、農作物自らの生きる力に任せるという方法です。だから、農作物は、自らにとって必要な栄養素を必要な量を土の中から吸収して生きている。栄養豊富な土にしていくためには、土中の微生物、虫、土竜等の生きものが要となってきます。
なるほど!「百聞は一見にしかず」ですね。
続いて、里芋!大きな葉っぱの上には、お昼に降った通り雨の雫がコロコロ転がっていました。山ならではのお天気ですね。
そして、落花生!
初めて落花生の収穫を体験しました。こんな風に成っているいるんですね。
そして、生の落花生を試食。これが、シャキシャキして美味しいんです!
そして、掘ったばかりの薩摩芋で焼き芋大会!(休憩タイム)
なんて贅沢なんだろう!本当に美味しかった!
最後に、馬鈴薯!あれ?馬鈴薯の茎や葉っぱはどこにあるんでしょうか?今回初めての試みだそうですが、6月頃に茎や葉が枯れた後も馬鈴薯を掘り出さずに土の中にねかせるという保存法です。ということで、土しかないところを手探りで掘るのは大変でしたが、宝探しをしてるようで面白かったです。
最後に、小松菜のスムージーを味わって、至れり尽くせりの「秋を満喫できた収穫祭」でした!寅子さん、スタッフの皆様、本当にありがとうございました。
都会で生活していると、「土」の感触と香り、土の中や植物に寄り添って生きている生きものたちのことを忘れてしまっていることに気付きました。更に、今回私たちは、農作物を掘らせていただきましたが、これらの種とりから始まる農作業に携わる方たちへと、自然の巡りがあって初めて実るということへの、感謝の気持ちを忘れていることにも気付きました。でも、一番大事な気付きは、私たち人間こそが自然を頼りにして生きているということを忘れていたことでした!
コンクリート・ジャングルの中では、生活するには便利なことも多いのですが、生きているという感覚を失っていくことも多いのだと想いました。
今回の講座では、私たち人間のもつ五感をフルに使って「秋の収穫」を存分に堪能できました!


ここで、スペシャル情報です。
今回お世話になりました「日本豊受自然農」との、アースデイ大学の「特別講座」実施が決定しました。11月16日、新嘗祭を直前に、「収穫・日本食」をテーマに開催。美味しい講座になりそうです!
近日、詳細をアースデイ大学のホームページに発表致します。乞うご期待。

2014年10月25日土曜日

関連講座レポート第1弾「霧ヶ峰でオオカミを語る」

10月19日、アースデイ大学「関連講座」として開催された「霧ヶ峰でオオカミを語る会(主催:一般社団法人 日本オオカミ協会)」の様子をレポートします。

アースデイ大学が、なぜ「オオカミ」を取り上げるのか?

オオカミといえば、まず「赤頭巾ちゃん」や「3匹のこぶた」が想い浮かぶのでは。幼い頃から「オオカミ=恐ろしい生きもの」になっています。でも、それは「童話の世界」でつくりあげられているイメージで、実際のオオカミの生態を理解していますか?

オオカミは、日本では「絶滅」してしまった生きもの。正しく言えば、「人間が絶滅させた」ことを知っていますか?

最近、シカが増えすぎて、「シカの食害」で森や植物の荒廃が深刻!との報道が散見される様になってきました。そんなシカの天敵が、オオカミだと知っていましたか?

日本オオカミ協会は、そんな偏見をもたれているオオカミが「日本の生態系を守る為の、重要な生きもの」として注目。協会は「シカの天敵」かつ「生態系の頂点捕食者」であるオオカミの日本導入を目指して活動しています。

「オオカミ=生態系を健全にする生きもの」
アースデイ大学としては、「それは、どういうことなのか?」と、興味を抱かずには居られません。


今回の講座会場は、長野県諏訪市の霧ヶ峰高原(天然記念物)。
ここ霧ヶ峰の高山植物も、「シカ」の増えすぎのため、危機に瀕しています。生態系が壊れかかっています。
今回、アースデイ大学は、前日18日から霧ヶ峰に入り、霧ヶ峰の理解を深めることからはじめました。
霧ヶ峰高原は、新宿から電車(約2時間)で「茅野」に。そこから車で約1時間ほど走って到着。この日は秋晴れの心地いい天気で、ドライブには最高にコンディションでした。
遠くには、八ヶ岳連邦を望み、富士山も良く見えました。
また、噴煙をあげている御岳山も確認できました。
高原一面に群生しているススキに、太陽に当たってキラキラ!とても美しい光景です!
まずは、八島ヶ原湿原に。1万年以上かかって出来上がった湿原で、学術的にも貴重な湿原だそうです。湿原の形がハード型でした。
夕方の光景も、素晴らしい!
夜には、真っ暗な山道の中を、シカを観察に行きました。
すると、凄い頭数に遭遇!!!
おそらく50匹はいたでしょう。上手く写っていませんが、この写真(画角)の中には約10頭のシカがいます。
このシカは、霧ヶ峰に生息しているシカの、ほんの一部にすぎないと想います。でも、この凄い頭数のシカが高原の草木を喰い散らかしていることの恐ろしさは、十分体感できました。

翌朝、車山湿原に。清々しい気分になります。
ここでは、シカの痕跡を多数確認できました。
食いちぎられ笹、道路上の足跡、シカが通って出来た獣道、シカが寝転がっていたとおもわれる窪み。。。
シカが湿原に入らない様に、広大な湿原を取り囲む様にフェンスが設置されていました。
「鳥獣保護区なのに、シカは別扱い」であることに違和感を感じました。問題が起きている現場では「シカは否定的な存在」になっているんですね。
さて、講座「霧ヶ峰でオオカミを語る」がいよいよスタートです。
会場は、霧ヶ峰高原では超老舗「コロボックル・ヒュッテ」。
会場には、オオカミ看板も設置。オオカミは等身大だそうです。
総勢15名の方が参加されました。地元の方が中心でしたが、皆さん「霧ヶ峰の実態に問題意識のある方」ばかりです。
約3時間の講座で、前半は「欧米での、オオカミと人間の共存状況」を詳しく、分かりやすく学ぶことが出来ました。知らないことばかり。自分自身に、オオカミに対する著しい偏見があることに驚きましたね。
後半、Q&Aタイムでは議論が白熱!霧ヶ峰で生活する方々にとって、もし「霧ヶ峰にオオカミが導入」されたら、シカの害は減るかもしれないが、「本当に」オオカミと人間は共存できるのか?と。当事者意識になると、気持ちは分かりますね。
(詳しい内容は、オオカミ協会にお問合せを)

今回「オオカミと生態系の関係」について、多くの学びがありました。
更に、「物事や状況を把握するには、様々な視点が必要!」という当たり前のことを、改めて体感できました。特定の情報だけで、自分の見方を決めてしまう。情報過多の現代は、そういう人がとても多いのではないでしょうか。今回は、「オオカミ」についてでしたが、「世の中に起きている様々な問題」への向き合い方にも、意識的に工夫する必要性があると感じました。(日本オオカミ協会の皆様、お世話になりました)

<おまけ>
今回の講座会場になった「コロボックル・ヒュッテ」は、食事も最高!
まずは、コーヒー。カップもオリジナルで素敵だが、、、
 サイフォンに入って登場。そして、とても美味しい!!!
 極めつけは「ボルシチ」!これも美味しい!
と、少し「旅気分」が入ってしまいましたが(苦笑)、大変有意義な2日間でした。