2015年10月4日日曜日

第11回特別講座「秋分、田の神が山へ帰る日!秋山路を行く 歩く×想いを馳せる」

第11回特別講座は、秋分の日(9月23日)に開催しました。
「秋分の日」は、皆さんご存知の様に「国民の祝日」で「昼と夜の長さが同じ日」。この「昼と夜の長さが同じ」ということがお彼岸に結びついています。「昼と夜の長さが同じ」ということは、太陽が真東から昇り真西に沈むことになりますが、仏教の世界では、西方浄土と言って「西に極楽がある」と言われているので、真西に太陽が沈む秋分の日は、仏様に祈りを捧げるのに最適な日=先祖供養の日になっているそうですよ。


今回の講座は、今年7月に開催した特別講座《小暑と聞けば、夏山道を探訪「古道歩き×オオカミ」》の続編講座として開催。学生達と地元の方々の温かい交流のある素敵な講座になりました。その模様をレポートします。

今回の会場は、千葉県市原市の「上総牛久」。東京駅から約1時間30分!とちょっとした小旅行気分になりますね。JR五井駅から「小湊鐵道」に乗り換えるのですが、この電車がいい味出しています。
切符も切符鋏でパチパチ穴をあけた札タイプ。ちょっと懐かしい。
会場の向かう道中から、和気あいあい。
で、やっと到着しました「上総牛久駅」!
駅では、今回お世話になった「内田未来楽校」の皆さんにお出迎えいただきました。お世話になります!

今回の講座は少しハードスケジュール!
早速、駅側の駐車場で、アースデイ大学の特別講座スタートのブリーフィングが始まりました。
 
今回の講座開催のチカラになっていただきました武蔵野大学の明石ゼミの皆さん(明石先生と学生たち)。ご協力ありがとうございました!
そして、今回の特別講座のゲスト講師の皆様です。
一人目は、内田未來楽校・事務局長の小出和茂さん。当日のお昼の準備や細かい所をフォローしていただきました。
二人目は、市原米沢の森を考える会・代表の鶴岡清次さん。準備段階からの全体調整から当日の古道歩き等をアグレッシブにリードしていただきました。
そして、三人目は、日本オオカミ協会・理事の朝倉裕さん。前回に続いて講師をしていただきました。

ブリーフィング終了後、早速、講座第1部の会場「内田の森」の山道へ向かいました。
道中も「青い空」「山々の緑」「心地よい風」に触れることが出来、気分は盛上りますね。
山路歩きスタートです。
普段歩き馴れていない山路に「あれっ、足下がふらついていません?」
まずは、山頂へ。ここから、房総半島が見渡せました!いい眺めです。
こちらが東京湾側。条件が良ければ、富士山・東京タワー・スカイツリーまで見る事ができるそうです。
こちらが太平洋側。九十九里浜を一望できます。

続いて「古道歩き」のスタートです!
上り下りが続く、深い森の中を進みます。正に自然の中に突入している感じですね。
そこでは、様々な光景に巡り会いました。
山の斜面を削り取って作られた古道(写真右側)に、昔の人々の面影が想像できました。
次に出会った山の神の「祠(ほこら)」と「その側にそびえ立つ大きな樹」には、昔の人々の自然と向き合う姿勢を体感。襟を正す気持ちになりました。

次に出会った石仏「庚申塔(こうしんとう)」には、昔の人々の暮らしぶりを想像できました。庚申塔は、悪疫などの侵入を防ぐ意味で、江戸時代を中心に村境に造立。六十日毎におとずれる庚申の夜、庚申講の人々はこの石仏の廻りで夜通し過ごしていたそうです。講とは、各集落で各テーマ毎、信仰により集まった集団のことで、困った時に助け合う仲間同士の集まりのことです。この当時、きっと、庚申講の仲間が集まって「こんな嘘を言ってしまったんだよぉ」「こんなことしちゃったんだよぉ」と夜通し反省大会をしていたのでしょうか?この会は、塔にも掘ってあるニワトリが朝を告げた時にお開きになるということでした。実に面白い!
出会った石仏の前では、榊をお供えして、皆さんでお参りをしました。鶴岡さん曰く「もうこれで学生のみなさんは無事に大学を卒業できること間違いなしですね!」やった〜(笑)

次に出会った石仏は、庚申塔とは全く違った穏やかな表情の石仏。
そして、BIGサプライズがありました。
約300年前、この石仏が建てられた日付「9月23日夜」が刻まれたいたのですが、なんと!今日は9月23日!これは、何かのご縁?
約300年前の今日、当時の人々が、この石仏の前で何を祈念したのでしょうか?大きな時の流れを、参加者全員で感じ取った瞬間でしたね。

山の中では、沢山のキノコを見つけることが出来ました。
こちらは「卵茸(たまごたけ)」で食べられるそうです。挑戦はしませんでしたが。。。
 こちらの白いキノコは食べられません。毒性があるそうです。森の中で、きれいに白光りしていました。正に、美しいものには毒があるんですね?!

古道歩きは後半戦へ。
内田の森の「放置竹林」の現状を目の当たりにすることも出来ました。どうにかならないものでしょうか?それにしても竹の太さがかなりあるので、「この竹だったら中から本当にかぐや姫が出てきても不思議ではないよね〜」と学生のみなさんも驚いていました。「駅から大学までの通学路が今日のような山路だったらどう?楽しい?」「面白そう!」

そして、ここには昔「お城」があったそうです。今は雑木林になってしまっていますが、堤の跡が感じられる地形になっていました。この竹林を下った山の麓には、城の門番という意味で、木戸(きど)という姓の方々が多いそうです。かつては、お城から遠くまで見通すことができたそうです。

…ということで、第1部「古道歩き」はここまで。約1.5時間の山路歩き、皆さんお疲れ様でした!午前中の山路歩きでの森林浴は、最高でした。そろそろお腹が減ってきたところで、無事に内田未來楽校に戻ってきました。内田未來楽校は、旧内田小学校木造校舎を利用し、地元の方々が、地域を元気にする様々な活動を展開されています。詳しくはコチラから。


なんと!内田未來楽校では、小出さんをはじめとした地元の方々が、私たちを驚かせる準備をして待っていただいていました!
今年は9月27日が「十五夜」。それを目前に、昔ながらの「お月見のお供え」を準備していただいていました。古い校舎の雰囲気と、お供えがとてもよく似合っていて、一同盛上りましたね。月に見立て、丸い栗や里芋、団子を一家団欒で月を見上げながら食べていたそうです。
また、内田未來楽校・会長の常澄さんにもご挨拶いただきました。(今回、校舎利用の機会をいただきまして、ありがとうございました)
そして、皆さんと一緒に、昔ながらの里山らしい食事をいただきました。感謝。
いずれも、地元の食材をよけいな味付けすることなく、シンプルにその素材の味を堪能する食事でした。
栗ごはん(栗がホクホクです)
秋ならではの里芋・サツマイモ(自然の味わい!とはこのことですね)
そして、月見団子(何度もおかわりしました 笑)
食事後、校舎内に展示されている内田小学校の昔の写真を見ながら、この土地の歴史に触れることも出来ました。

続いて、午後からの第2部「里山散策(谷戸田歩き)」のスタートです。
いきなり眼に飛び込んでくるのは、里山の美しい風景。素晴らしいですね。
道中は、時間節約の為に、車でショートカット!青春してますね!(注:私有地内での撮影です)
都心では見る事が難しくなってしまった舗装されていない土の路の感触。(絶滅危惧種になってしまった)メダカ、ザリガニ、トンボに触れ合う時間になりました。なんだか、懐かしい気分になったのは私だけでしょうか。
一方で、里山の直面する「獣害」も目の当たりにすることが出来ました。イノシシが田畑を荒らす被害が、年々拡大しているそうです。この日も、至る所にその痕跡を確認することができました。
イノシシ用のオリ・ワナも、至る所に見る事ができました。イノシシは「頭がいい」らしく、仕掛けも工夫が必要とのこと。農家の方は、日々「イノシシとの戦い」だそうです。

里山散策後、内田未来楽校に戻り、講座の振返りをしました。
今回は「連歌遊び」をしました。連歌遊びとは、華道、茶道と同じ頃、室町時代に和歌「5・7・5、7・7」を上句、下句に分けてそれぞれ異なる人が歌を繰り返し詠む遊びです。今回、その「連歌遊び」をアースデイ大学流にアレンジして、参加したみなさんには「今回の講座の感想」を句で表現することにチャレンジしていただきました。
で、やってみると、盛上りましたね!「今回講座の受講者」と「地元の方々」の想いが、とても上手くミックスできたと想います。季節の巡りと今日の出会い、一期一会に感謝。3つの連歌が出来上がりました!

…ということで、あっという間に講座終了の時間になりました。
非常に内容の濃い講座だったのではないでしょうか。受講者の皆さま、内田未来楽校の皆さま、ゲスト講師の皆さま、ありがとうございました。(皆さんで、ハイ・チーズ!)

今回の講座では、都心では自分ゴト化することが難しい「里山」について、つまり「日本の自然環境が抱えている課題」を、様々な角度から体感することが出来たと想います。
その土地土地には、昔からの時間経過の中で蓄積してきた「大切なもの」があります。それを、現在の我々が、どの様に受け止めるのか?これからの未来に対して、どう考え、どう具体的に行動に移す事ができるのか?
秋の澄み渡った空高くには、アンドロメダ大星雲が広がり、北に「オオグマ」と「コグマ」が、西から翼広げた「ハクチョウ」と「ワシ」が天高く競うかのように飛ぶ姿が、古来より変わらぬ秋の星空の風景としてあります。時間に追われている現代社会の中で、少し立ち止まって考えることも重要ですね。内田の森は、そんな問題提議もしてくれる、とても素敵な場所でした。
帰りの電車の中でも「里山」について、各自が体験して考えたこと、発見した課題について話しながら帰りました。学生のみなさんからも「ぜひ続きの講座を開催してください!」という声が上がり、本当に良かったです。
次回も乞うご期待!

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